少人数私募債

 社債はメリットがあるのですが、社債は今まで株式会社しか発行できなかったのです。そのため、他の会社形態では、社債では資金調達を行えなかったのです。しかし会社法では、株式会社以外でも社債が発行できるようになりました。ようするに、合同・合名・合資会社であっても、社債を発行できるのです。そのため中小企業全般で、資金調達が行いやすくなりました。なお、中小企業が発行するのに向いている社債は、少人数私募債というものです。
 

社債と借入金の特徴

 会社が事業を行っていくためには、運転資金が必要です。そのため、多くの会社は、借入金や社債という形で借金をし、それを運転資金にあてています。
 借入金とは、銀行などを通じて間接的に調達する、間接金融による資金のことです。借入金は、一括返済の場合もありますが、分割返済が一般的なので借りたと同時に、返済がすぐ始まります。
 社債とは、資金調達のため発行する有価証券のことです。会社自らが直接、マーケットなどを通じて調達するので、直接金融による長期資金ともいえます。当然、社債も返還(償還という)しなくてはいけませんが、社債は償還期限に一括返還することが一般的です。ですから、一括返済まで、数年期間がありますので、その間は資金を有効に使えます。
 社債には、借入金にはないメリットがあります。例えば、社債の方が借入金よりも、お金を集めやすいといわれています。なぜなら、100万円を借りようとする場合、なかなか1人の人から100万円という大金を借りるのは難しいからです。しかし、社債であれば、5万円の有価証券(社債)を20人に買ってもらうなど、多人数から少額でお金を借りることが可能で資金を集めやすいです。
 また、社債と長期借入金は両方とも、利息を払わなくてはいけませんが、利息をもらう人にとっては、社債のほうが、税務上の取り扱いが有利になることが多いです。なぜなら、貸付金の利息は、雑所得となり個人の所得税では、他の所得と合算され累進課税の税率が適用されます。しかし、社債による利息は利子所得となり、国税15%、地方税5%分が源泉徴収されて終わりです。ですから、所得が多い人ほど、社債の方が得となります。
 
 
 
  
社債 借入金
特徴 多人数から少額の借金 銀行など一部から
多額の借金
担保 一般的に必要なし 一般的に必要あり
返済 償還期限に一括返還が一般的 月々返済が一般的
発行手続き 社債の要項をつくるなどの手続きが必要 借入先への書類提出等
源泉徴収 会社が利息を支払う際は源泉徴収(15%と5%)が必要 会社が利息を支払う際は、源泉徴収が不要
利息を貰う側の税務 利息収入は利子所得となる。源泉徴収(15%と5%)されているため確定申告不要 利息収入は雑所得(累進課税)となる。確定申告必要
 

少人数私募債の発行

 では、社債はどのように発行するのでしょか。以前は、社債を発行するには、取締役会の決議が必要でした。しかし、会社法で取締役会のない会社でも、社債が発行できるようになりました。社債を引き受ける人を募集する際には、社債の金額、社債の利率、社債の償還方法と期限、利息支払の方法、等を定めなければいけません。
 なお原則として、社債を募集・発行する場合、証券取引法と会社法の規制がかかります。証券取引法では、費用と手間がかかる有価証券届出書の提出が求められます。また、会社法では、銀行・信託会社などの社債管理者の設置が義務づけられています。ただし、中小企業が社債を発行する場合、縁故者や取引先など少人数が対象となるでしょう。このような社債を一般的に、少人数私募債または縁故債といいます。少人数私募債のようなものまで、厳格な規制を適用しては、中小企業では社債を発行することはできなくなってしまいます。そのため、以下のような要件などを満たせば、証券取引法や会社法上の規制を受けないですみます。
 @ 社債の募集総額が1億円未満であること
 A 社債の取得の申し込みの勧誘を行った相手が50人未満であること
 B 記名式社債で転売制限付か、社債券の発行枚数が50枚未満であること
 このように、少人数私募債とは面倒な手続きが比較的少ないうえ、利息や発行額、償還期間も自由に決められるため、新たな事業展開を図ろうとする中小企業に適した資金調達方法といえます。
 
 
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