科目名:慰安旅行−福利厚生費(21/11/19改定)

 会社が従業員のために行う、レクリエーション旅行のことをいいます。
 

慰安旅行の具体例

 旅行にかかる費用。鉄道・航空運賃、ホテル・旅館の宿泊代、食事代、ベルボーイや仲居さん等へのチップ
 

慰安旅行の仕訳例

 慰安旅行の費用315,000円(消費税15,000円)を、全額会社が支払った。
 福利厚生費  300,000円    現金預金 315,000円
 仮払消費税   15,000円
 

慰安旅行の法人税の取扱い

 一般的には、福利厚生費になり、法人負担分の費用は全額損金になります。ただし、交際費や給料や役員賞与となる場合もありますので、注意が必要です。
 

慰安旅行の消費税の取扱い

 @国内慰安旅行
 一般的には、全額が課税仕入れとなります。ただし、ベルボーイや仲居さん等へのチップは、謝礼であるため、役務提供の対価ではありません。そのため、課税仕入れにはなりません。
 A海外慰安旅行
 海外取引と国際間運賃は課税仕入れとなりません。ただし、国内で使われる費用は課税仕入れとなります。
(例)国内における集合場所から空港までの運賃。パスポート取得代行費用。
 旅行業者に一括で払う場合は、旅行業者から発行される請求書をもとに、課税仕入れの区分を行ってください。
 

慰安旅行と福利厚生費

 慰安旅行が、社会通念上一般的に行われていると認められる範囲であれば、福利厚生費となり、旅行に参加した人について給与課税(源泉徴収)をしなくてもよいことになっています(所基通36−30昭63直法6−9、平5課法8−1改正)。
 福利厚生費として取り扱われるための条件は次のとおりです。
 @旅行費用の会社負担分が、少額であること。
 会社負担分が10万円程度(会社負担分が10万円、従業員負担分がゼロでもOK)。
 A旅行の参加行事が一般的であること
 全員参加の行事としてゴルフをする場合は、たとえ1泊2日の格安な社員旅行であっても、一般的とはいえないとされます。そのため、 原則として、課税される経済的利益になります。
 B旅行の期間が4泊5日以内であること。
 海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること(機内での寝泊りは1泊として、カウントしません)。
 C従業員全員を対象とし、旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であること。
 工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の半分以上が参加することが必要。
 D自己都合による不参加者に金銭を支給しないこと(詳しくは下記)
 
 ただし、上記すべての条件を満たしている旅行であっても、以下のような旅行は従業員のレクリエーション旅行であると考えられないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などで処理しなくてはいけません。
(1)役員だけで行う旅行⇒役員賞与
(2)取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行⇒交際費
(3)実質的に私的旅行と認められる旅行⇒役員賞与、給与手当
(4)金銭との選択が可能な旅行⇒役員賞与、給与手当
 

 

慰安旅行に関して、国税庁が公表した参考事例

 慰安旅行に関しては、税務調査で争点になることが多いです。そのため、国税庁は参考事例を公表しました。
 (参考事例)
具体的には、次のように取り扱われるものと考えられます。
[事例1]
 イ旅行期間     3泊4日
 ロ費用及び負担状況 旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
 ハ参加割合     100%
 ・・・旅行期間・参加割合の要件及び少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例2]
 イ旅行期間     4泊5日
 ロ費用及び負担状況 旅行費用25万円(内使用者負担10万円)
 ハ参加割合     100%
 ・・・旅行期間・参加割合の要件及び少額不追求の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例3]
 イ旅行期間     5泊6日
 ロ費用及び負担状況 旅行費用30万円(内使用者負担15万円)
 ハ参加割合     50%
 ・・・旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから課税
 

旅行期間 旅行費用 社員
参加割合
給与課税
旅行費用総額 会社負担分 従業員負担分
事例1 3泊4日 15万円 7万円 8万円 100% 非課税
事例2 4泊5日 25万円 10万円 15万円 100% 非課税
事例3 5泊6日 30万円 15万円 15万円 50% 課税
 
 事例3で、給与課税をする理由として、旅行期間についてしか触れておらず、金額については触れていません。そのため、15万円の会社負担分はOKであるのか疑問が残るところです。ただし、給与課税を確実に避けたいのであるならば、やはり会社負担分は10万円以内にしておいた方が良いと思います。
 

慰安旅行に不参加者がいる場合

 若い世代の方に多いのですが、会社が行う慰安旅行に行きたがらない方もいます。また、会社の業務上、ある従業員の方には、慰安旅行に参加させずに仕事をしてもらう場合もあるでしょう。この場合、不参加者に金銭を支給すると給与課税の問題が発生します。
 @自己都合による不参加者に、金銭を支給
 旅行不参加者だけでなく、参加者も含めた全員に、不参加者に支給された金銭相当分の給与課税がかかります(所基通36−50)。従業員全員が、その行事に参加するか、または、参加しないで金銭支給を受けるかの選択ができるからです。
 A会社の業務上の都合による不参加者に、金銭を支給
 旅行不参加者に、支給された金銭相当分の給与課税がかかります(所基通36−30)。
 

家族同伴の慰安旅行

 外資系の会社に多いのですが、従業員だけでなく、従業員の家族も招待する慰安旅行を行っているケースがあります。ただし、日本の税務上においては、家族も招待する慰安旅行は社会通念上一般的とは認められません(せいぜい、日帰りの海水浴やピクニックまでが限度)。ですから、家族同伴で参加した従業員には、「本人分+家族分」の費用が給与課税されることになります。
 しかし、家族同伴で参加する従業員がいたとしても、慰安旅行そのものが社会通念上一般的の範囲内であれば、単身参加した従業員については、給与課税されることはないと考えられます。
 

慰安旅行で、給与手当とされた場合の消費税の処理

 福利厚生費ではなく、給与手当に該当してしまった場合の消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか?この場合、給与手当に該当してしまった場合でも、国内における役務提供の対価であれば課税仕入れになります(消基通11−2−3)。
(例)国内における鉄道・航空運賃、ホテル・旅館の宿泊代、食事代など
 

慰安旅行の証拠資料

 慰安旅行であったという証拠資料を保存しておいたほうが良いでしょう。
(例)旅行費用請求書、領収書、明細書、パンフレット、写真、日程表など
 
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