科目名:貸倒損失

 倒産などにより、売掛金・貸付金などの金銭債権が回収できなくなった債権者の損失のことをいいます。
 

貸倒損失の具体例

 倒産・会社更生法・民事再生法など適用企業に対する金銭債権の回収不能額 など
 

貸倒損失の仕訳例

 売掛金315,000円(消費税15,000円)が貸し倒れた。
 貸倒損失   300,000円    売掛金 315,000円
 仮受消費税  15,000円
 

貸倒損失の法人税の取扱い

 貸倒損失の要件をみたせば、損金となります。
 

貸倒損失の消費税の取扱い

 売掛金などの売掛債権が貸し倒れとなった場合、貸倒損失に含まれる消費税は、貸し倒れが生じた課税期間の課税売上に対する消費税から控除します。
 一方、貸付金などの貸付債権が貸し倒れとなった場合、貸し倒れが生じた課税期間の課税売上に対する消費税から控除することはできません。なぜなら、貸付金などの貸付債権の発生に、消費税は関係していないからです。
 また、免税事業者が課税事業者になった場合は、免税事業者であった間に発生した売掛金などの売掛債権が、課税事業者になった後、貸し倒れても税額控除することはできません。なぜなら、その売掛金などの売掛債権は免税事業者であった間に発生しているため、もともとその部分の消費税を納めてないからです。
 

貸倒損失として処理できる場合

 貸倒損失としての処理要件は、非常に厳しいものがあります。税務調査でもトラブルになりやすいところなので、しっかり理解することが大切です。
 法人の金銭債権について、次のような事実が生じた場合には、貸倒損失として損金の額に算入されます。
 1 法律上の貸倒(法基通9−6−1)
 2 事実上の貸倒(法基通9−6−2)
 3 形式上の貸倒(法基通9−6−3)
 以下で、詳しく説明します。
 

1 法律上の貸倒

 次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられる金額などは、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。この場合は、法律上、債権が消滅しているので、法人が損金経理しているか否かを問わず、損金算入されます(法人が損金経理していないときは、申告減算をする)。
 (1)会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、商法、民事再生法の規定による更生・整理・再生計画等の認可の決定により、切り捨てられる金額
 (2)法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる金額
 (3)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合に、その債務者に対して、書面(内容証明郵便で債権放棄の通知など)で明らかにした債務免除額
 

 

2 事実上の貸倒

 債務者の資産状況、支払能力などからその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度で貸倒れとして損金経理をしたときは、認められます。ただし担保があるときは、その処分をした後でないと損金経理はできません。なお、劣後抵当権のような名目的な担保は、「ない」ものとして取り扱ってよいと考えられます。
 

 
 なお、保証債務は現実に履行するまでは、偶発債務にすぎません。したがって、現実に履行した後でないと貸倒れの対象とすることはできません。
 

 

3 形式上の貸倒

 次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権(貸付金債権は含まない)について、その売掛債権の額から備忘価額(1円)を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、認められます。
 (1)継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
 ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。
 (2)同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
 

貸倒損失のポイント

 @損金算入時期
 貸倒損失として処理をすべき事業年度は、今期で良いのか
 A寄付金
 回収可能性がある債権を貸倒損失として処理した場合、寄付金(詳しくは、こちらのページまで)とみなされ損金算入に制限が設けられます。
 

貸倒損失のまとめ

 
区分 具体的な事実 対象債権 対象金額 損金
算入
時期
処理
要件
法律上
の貸倒
会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、商法、民事再生法の規定により切り捨てられる金額 金銭債権

売掛債権+貸付債権
切り捨てられる金額 その事実が生じた事業年度 損金経理しているか否かを問わない
法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる金額
債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額 債務免除額
事実上
の貸倒
金銭債権の全額が回収不能となった場合
 債務者の資産状況、支払能力などからその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度で貸倒れとして損金経理することができます。ただし担保があるときは、その処分をした後でないと損金経理はできません。
 なお、保証債務は現実に履行した後でないと貸倒れの対象とすることはできません。
回収不能額(全額)
全額が回収できないことが明らかになった事業年度 損金経理が必要
形式上
の貸倒
継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
 ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。
売掛債権 売掛債権の額から備忘価額(1円)を控除した残額 取引停止後1年以上経過した日を含む事業年度
同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合 支払を督促しても弁済がない日を含む事業年度
 
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