簿記の流れ

 簿記は取引、仕訳、記帳、集計、決算という一連の流れで行われています。一般的には、取引、仕訳、記帳は毎日行われます。また、集計は毎月、決算は毎年ごとに行うものとなっています。
 

 

複式簿記

 会社には、営業部、製造部、人事部、総務部など様々な部門があります。その中でも、経理部は、なくてはならない大切な部門です。経理部では、主に、会計、資金繰り、経営管理の3つの業務を行っています。小さい会社の場合、社長があらゆる仕事をしなくてはいけないため、経理は後回しになることが多いです。しかし、経理をおろそかにすることは、お金の管理をおろそかにすることなので会社は倒産する可能性が高いです。そのため、忙しくても経理はキチンとやりましょう。
 経理の仕事のメインである会計業務は、簿記とも言われます。簿記とは、会社の経済活動を帳簿に記録・計算し、一定の時点で管理することです。簿記には2つの種類があります。現金の出入りだけを記帳する小遣い帳や家計簿などの「単式簿記」と、すべての取引を借方と貸方に分け記帳し整理する「複式簿記」があります。会社では、経営状況を明確にするため、すべての取引を記入する「複式簿記」がとられています。「複式簿記」とは、1つの取引(詳しくは、下記)を2つの側面から把握することをいいます。例えば、モノを売って現金を売却代金としてもらったとします。「単式簿記」では、お金が入ったことしか把握しません。しかし、「複式簿記」の場合、お金が入ったことのほかに、モノを売ったということも把握し仕訳(詳しくは、下記)をします。会社のすべての活動を2つの側面から把握することで、会社経営に必要な情報を収集・提供できます。
 

取引

 取引といった場合、まず頭に浮かぶのは売買でしょう。モノを売って、現金を売却代金としてもらうということです。ただし、簿記上で使われる取引とは、世間一般で使われているものと少し違います。簿記上の取引とは、会社の資産・負債・資本・収益・費用の項目が変動すれば取引といいます。
 そのため、地震で建物が損壊した場合も一般的には災害になりますが、簿記上では資産が減少したことになるので、取引となります。また、商品が盗まれた場合も、資産が減少したことになるので、取引となります。乱暴な言い方をすると、地震や泥棒とも取引をしているということになります。新たな得意先ができて、そこの会社と売買契約を結んだとします。しかし、売買契約を結んだだけでは、簿記上では資産が変動をしていないので、取引とはなりません。モノの売り買いをして始めて取引となります。ですから、簿記における「取引」という概念をしっかり理解する必要があります。
 

 

仕訳

 簿記上の取引があったならば、仕訳をする必要があります。仕訳とは、1つ1つの取引ごとに、勘定科目と金額を確かめ、借方・貸方の記入をすることをいいます。仕訳では、取引を必ず左右に分けるのですが、左を借方、右を貸方と言います。仕訳のルールとして、会社の資産・費用の項目が増加すれば借方に記入をします。逆に減少すれば貸方に記入をします。また、負債・資本・収益の項目が増加すれば貸方に記入をします。逆に減少すれば借方に記入をします。
 
借方 貸方
資産の増加 資産の減少
負債の減少 負債の増加
資本の減少 資本の増加
収益の減少 収益の増加
費用の増加 費用の減少
  
 例えば、銀行から100万円借りたとします。この場合、左側の借方には、現金100万円という資産が増加したので記帳し、右側の貸方には銀行からお金を借りたのだから負債の増加として100万円を記入します。
 
借方 貸方
現金 100万円 借入金 100万円
(資産の増加) (負債の増加)
  
 もう1つ、例を見てみましょう。現金100万円で商品を購入した場合について考えてみましょう。この場合、左側の借方には、仕入100万円という費用が増加したので記帳し、右側の貸方には現金100万円という資産が減少したので記入します。
 
借方 貸方
仕入 100万円 現金 100万円
(費用の増加) (資産の減少)
   

記帳

 仕訳を、実際に記入する際には、仕訳伝票というものを使います。仕訳伝票には、入金伝票、出金伝票、振替伝票の3種類があります。現金での入金がある取引は、入金伝票を使います。現金での出金がある取引は、出金伝票を使います。振替伝票は、現金が関与しないすべての取引に使われます。その後、それらの伝票を基にして帳簿に整理して転記します。この一連の作業を記帳といいます。
 帳簿とは、会社で行われた取引を記録するもので、代表的なものが総勘定元帳です。総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目別、かつ発生順に記載したものです。このように、総勘定元帳は決算書(詳しくは、下記)をつくるために重要な帳簿であるため、「主要簿」ともよばれます。「主要簿」をサポートするものとして、「補助簿」があります。「補助簿」には、得意先ごとの売上や回収を記録している得意先元帳などがあります。
 

 

集計

 総勘定元帳から、各勘定科目ごとに月末の残高を集計していくことになります。これを一覧表にしたものが試算表とよばれるものです。試算表によって、会社の経営や財務状況がわかるため、簡易版月次決算書ともいえます。小さい会社ですと、経理が後回しになって、試算表を1回も作らないまま決算を迎えることがあります。ただし、それでは会社が成長することはありえません。毎月1回は、会社の経営・財務状況がどのような状態にあるかを把握することは非常に大切なことです。
 会社の経営者であるならば、自らが経営しているため、会社が儲かっているのか否かは、何となくはわかります。ただし、その感覚は現金・預金がどのくらいあるかに影響を受けやすいのです。会計上の利益と、現金の動きにはズレが生じます。例えば、モノを売ってはいるが、現金としてまだ貰っていない場合でも、会計上の利益は増えます。逆に、消耗品を購入しているが、現金で払っていない場合でも、会計上の利益は減ります。期中に、試算表を作らずに決算を迎えると、自分で想定していた利益よりも、はるかに利益が出ていたり、また逆に赤字であるという場合があります。
 

 

決算

 決算では、試算表を基に決算整理を行います。決算整理とは、残った製品や商品を確認する実地棚卸の手続きや、減価償却費(詳しくは、こちらのページ)の計上などの処理のことをいいます。そして作成されるのが決算書なのです。会社は、出資者や債権者に対して会計情報を報告する義務があります。その時に必要なものが、決算書なのです。また、当然のことですが経営者自身が「会社がいくら儲けることができたか」「会社の財産がいくらになったか」ということも把握することができます。ようするに、会社の経営成績や財務状態を、決算書で確認することができるのです。しかし、それだけではありません。決算書を作る本当の意味は、現時点での会社の経営状態や財務状態を見極めて、今後の方針や戦略を立てていくことなのです。決算書を読み解くことができれば、多くのことが見えてくるでしょう。ぜひ、会社経営のツールとして、決算書を上手に活用してください。
 なお、決算書の中でメインとなるものが、損益計算書(詳しくは、こちらのページ)と貸借対照表(詳しくは、こちらのページ)となります。この、損益計算書と貸借対照表は1回の取引で、同時に作成されます。なぜ、同時に2つの決算書ができるのでしょうか?会社の帳簿は「複式簿記」で作成します。複式簿記では、売上があがると、それと同じ額の資産が増えることになります。
 売上 ⇒ 損益計算書
 資産 ⇒ 貸借対照表
 このように、それぞれが転記される仕組みになっているため、1回の取引で損益計算書と貸借対照表が同時に作成されるのです。
 
 
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